【岑鞏県〈中国・貴州省〉=奥寺淳】「畑で死刑執行とは、信じられない」
 取材を始めたのは、中国のメディア関係者からの1本のメールからだった。教えてもらった中国の動画閲覧サイトを見ると、「死刑囚の銃殺シーンを見物する村民」と題する映像が投稿されていた。しかし、場所や日時に関する情報はない。中国メディアもいっさい報じていなかった。
 サイトに書き込まれた数百件の書き込みや別の角度から撮影した動画などを調べると、貴州省の東部で起きた事件に突き当たった。地元の幹部や司法当局者らに電話で確認すると、昨年9月、畑の中で死刑が執行されたという。
 1960年代から70年代の文化大革命時代を思い起こさせるような公開処刑が、今も行われているのだろうか。早速、現場へ向かった。
■やじ馬が囲む畑で
 同省東部の岑鞏(ツェンコン)県。山あいの集落には、棚田やトウモロコシ畑が広がる。公開処刑のことを村人に尋ねると、誰もが知っていた。川のほとりの畑が現場だという。そこへ行くと、執行場所の目の前に住む王堂軍さん(61)が昨年9月のよく晴れた日のことを語り始めた。「銃殺刑があると当日の朝に聞かされ、うわさが広まって村人が大勢詰めかけたんだ」
 小さなれんが工場の目の前。死刑が執行された畑の脇には、木片やブリキ、空き缶、ぼろ布などが散らばっていた。
 サイトに投稿された動画には、畑を見下ろす丘の上や民家の屋上で、労働者や日傘を差した女性、子連れの母親らが死刑の執行を見物する姿が映る。そこに「司法」と書かれた車両十数台がサイレンを鳴らして現れ、生い茂った雑草の脇に停車した。

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