中高生から後進次々
たんこぶちんは、ヤマハの音楽コンテスト決勝大会で優秀賞に輝いた
 女子バンドが熱い。
 アニメやアイドルグループの影響による一過性の流行かと思いきや、50歳前後のバンド経験のある指導者から手ほどきをうけ、高い演奏力を身に着けた女子中高生らが中心となっている。今回のブームは、しっかりした実質を伴ったものといえそうだ。
 東京・渋谷で13日に行われたアマチュア音楽コンテスト「Music Revolution」(ヤマハ主催)の決勝大会「ジャパン ファイナル」。今回4399組の応募のうち、決勝に進んだ13組の中に「おかっぱ」(東京都)、「たんこぶちん」(福岡県)という2組の女子バンドの姿があった。
 起伏ある展開の楽曲を椎名林檎のように激しく歌っていた「おかっぱ」と、まとまりのある演奏を披露していた「たんこぶちん」。共に、メンバー全員が高校2年生の5人組。驚くのは、バンド歴が約5年というキャリアだ。
 おかっぱは、中高一貫校のギター部で中1の時に結成された。たんこぶちんは、小学校の同好会で6年生の時に組んだバンドだ。軽音楽部で活動する女子高生を描いたアニメ「けいおん!」や、AKB48がバンドスタイルで歌う「GIVE ME FIVE!」が引き金になり女子バンドブームが起こったように見えるが、現場では生徒たちが地道に力を蓄えているのだ。■ロック好きの先生が指導
 両バンドの指導者はいずれも、洋楽のロックを好み、楽器を手にしてきた世代。熱心な指導をしてきたが、意識して女子バンドを育てたわけではないと口をそろえる。おかっぱが所属する日大一高ギター部の渡部昭彦教諭(50)は、「中学生の女子は勤勉。課題を出すと弾けるようになってくる。部に残る率も高い」と話す。同校全体は男子の人数が多いが、同部では3分の2が女子部員だ。たんこぶちんを指導した小学校教諭の横井泉さん(49)によると、「小学生男子はスポーツに目が行き、音楽に興味を示さない」。たんこぶちんのメンバーは「バンドは男子のイメージだったけど、もう男の子だけのものじゃない」と、意気盛ん。男女関係なく楽器に触れる機会が増え、熱心な女子がシーンを支えているのが現状のようだ。■形からも増加中
 もちろん、ブームの影響で、バンドを始める女子も増えている。アイドル並みのルックスで、実力もめきめき上げている4人組バンド、SCANDALの楽曲をコピーするコンテストの決勝が先月、東京・渋谷であった。実力派が腕前を見せつける一方、そろいの衣装を作って出場するバンドや、メンバー紹介やタオル回しなどプロのライブをまねする組もあった。同コンテストは今年で3回目。応募者は初回、352組だったが、今回は最高の510組にのぼった。
 全国に店舗を持つ「島村楽器」主催のコンテスト「HOTLINE」も、ブームを反映して2012年大会から「ガールズバンド部門」を新設した。楽器店に来店する女子も増加しているといい、昨年は「Let’s Go!バンド女子!!」というフェアも全店で実施している。(文化部 清川仁)
アイドルやモデル出身も
 女子バンドブームは、アイドルやモデルたちにも様々なきっかけを与えている。
 アイドルグループ「モーニング娘。」の田中れいなは今年、バンドとしてデビューする。昨年、オーディションにより4000人の中からボーカルやギターの3人のメンバーが決定した。
 パフォーマンスの一部として、バンド形態を取り入れるアイドルも。今月6日に行われたKARAの東京ドーム公演では、ハラがドラムソロやギターを披露した。
 読者モデルのバンドも登場している。「サイレント サイレン」=写真=は、「CUTiE」などのファッション誌の読者モデル4人で構成。音楽の趣味が一致したメンバーが自主的にバンドを組み、昨年デビューを果たした。ポップな楽曲とキュートな歌声が魅力。2月に2枚目のシングル「stella☆」、4月には初めてのアルバムを出す予定だ。
チャットモンチー ブーム「めっちゃうれしい」
チャットモンチーの橋本(左)と福岡
 2005年のデビュー以来、実力派として安定した人気を誇っているバンドがチャットモンチーだ。女子バンドブームが一過性ではなく続いていくためにも、ロックシーンに確固たる地位を築いている彼女たちの存在は大きい。
 一昨年、ドラムスの高橋久美子が脱退。昨年、2人だけの活動を本格的に開始した。ボーカル、ギターの橋本絵莉子、ベースの福岡晃子の双方が、抜けたドラムを曲ごとに交代で担当するのを含め、様々な楽器を代わる代わる手にする。
 きっかけは「私がドラムをやるのはどうかな」という福岡の一言だった。福岡は「別のメンバーを入れて過去の曲を再現しても、新たな展望は開けないと思った」と振り返る。橋本は「2人になった危機感がいい方に働いた。お客さんに歌いかける感じも味わえるようになった」と話す。昨年10月には、録音を重ねない2人だけの生の演奏で構成した新作「変身」が完成。ボーカルや演奏の迫力も格段に上がった。
 2人だけで演奏をする新機軸を打ち立てた2人の姿に、メンバー不足に悩むアマチュアバンドも勇気づけられたことだろう。「女子だけのバンドは、目立つことがメリット。デメリットはない」と、2人は声をそろえる。ブームについて福岡は「めっちゃうれしいです。どんなきっかけでもいいから入ってきて続いてほしい」と喜ぶ。橋本も「音楽シーンが盛り上がって安心する」と話す。
 「女の人は肝が据わっているから、思うようにやってほしい」(福岡)。「思いついたらやること」(橋本)。逆境にめげず、道を切り開いてきた2人が強いエールを送った。
(2013年1月25日
読売新聞)

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